タイのコンケン大学できもの文化発信のためのワークショップ
本学教育学部教授の薩本先生は学内外の共同研究者数名と2009年から文部科学省「服飾文化共同研究拠点」の研究(2009年~2011年度)「きもの文化の伝承と海外発信のための教育プログラムの開発」のプロジェクト研究を実施しました。その後も2016~2018年度には「きもの文化の伝承と海外発信のための教育プログラムの展開」(代表:扇澤美千子)基盤研究(C)(一般)、2021?2023年度には「ICTの活用による家庭科衣生活領域の学習支援」(代表:川端博子)基盤研究(C)(一般)が採択され、きもの文化の伝承?発信を続けています。本研究ではこれまでの実践?研究を基盤として、日本のきもの文化の伝承と海外発信のための教育プログラムを展開することで、若年層のきもの文化への興味?関心を喚起し、国際交流?相互理解の基盤とするために、以下の研究を行います。
1.伝統文化をふまえた衣生活?服飾文化の伝承をめざす教材?資料の充実と発信
2.ゆかた着装の体験学習を含めた教育プログラムの実践とその効果検証
3.きもの文化を海外へ発信するための国際交流活動プログラムの整備
このプロジェクト研究の一環で、2023年9月8日~12日まできもの文化を海外へ発信するための教育プログラムを開発することを目指して、埼玉大学教授の川端博子先生、茨城キリスト教大学教授の扇澤美千子先生および本学の薩本先生、本学博士課程修了生で昭和学院短期大学非常勤講師の大矢幸江先生、家庭科教諭で元山形県立山辺高等学校校長の高橋恵子先生、学生3名に加えて日本舞踊家の藤蔭里燕様とお母様にも参加して頂き、計10名で第14回目となるSharing Kimono CultureおよびTry-on-Yukataのワークショップを実施しました。このWSはタイのコンケン大学から2018年に引き続き招待されたもので、高校生、初等中等高等教育機関教員などを対象にした一般公開講座と日本語教育課程3年生対象とした計2回のWSを実施しました。初日の一般向け公開講座は以下のポスターを用いて参加者を募っていただいたとのことです。
以下、薩本先生からの報告を掲載します。
コンケン大学はタイの東北地方最大の国立総合大学で、17学部を有するタイを代表する大学とのことです。大学の敷地が広大で、山手線の四分の一位の広さだそうで、コンケンという街の大きな部分をコンケン大学が占める、学園都市です。
コンケン大学でのSharing Kimono CultureおよびTry-on-Yukataのワークショップは2018年以来の2度目ですが、コンケン大学でのワークショップが実現することになったのは本学の教育学研究科の修士課程を言語文化系教育講座の青山先生の元で修了し、現在、コンケン大学の日本語教員となっている高橋美紀先生との出会いがきっかけです。高橋先生がプロジェクトのホームページにアップロードしているゆかたの着装およびたたみ方のe-learning教材を目にして、そのタイ語訳版を製作できないか、青山先生を通じて問い合わせがあったことが発端でした。今回も高橋先生にオーガナイズしていただき、また、コンケン大学教育学部日本語教育プログラム、プログラム長であるDr.Watchara Suyara(ワッチャラー スヤラー 先生)の協力をいただき開催することができました。今回はきもの文化のレクチャとゆかた着付け体験に加えて、日本舞踊家の藤蔭流師範の藤蔭里燕さんに参加していただき、きもの文化の代表的な例である日本舞踊についてその端緒を紹介いただきました。
ワークショップの初日は初等中等高等教育機関教員などを中心とした一般公開講座として実施しました。参加者が約350名になり、実際のゆかたの着付けは出来ませんでしたが、4人の教員がきものの文化に関わるレクチャを行い、学生を中心にゆかたの着付けのデモンストレーションを行いました。その後、里燕様から日本舞踊に関するレクチャと演目「梅」の演舞を披露いただきました。その後、見立てワークを行いました。会場の参加者の多くが扇子を使って、里燕さんの見立てと解説を聞きながら見立てワークを実践しました。最後に見立てワークの中で実践した見立てが多く含まれる演目「藤娘」の演舞を里燕さんに披露いただき、盛会のうちに終了しました。
二日目は、教育学部日本語教育課程3年生を対象(25名)とし、ゆかたの着装、その上での見立てワーク、さらにたたみ方の実習を行い、1日目よりさらに実践的なWSになりました。ゆかたの着装だけでなく、見立てワークを通じて文化としてのきものを体験して頂けたと思います。
ワークショップ前日はコンケンにあるノーンウェーン寺院とシルク村にタイシルクの見学をしました。シルク村ではタイシルクの製糸や機織りの体験をさせていただきました。張りのある美しい文様を織り込んだシルクのコレクションの展示室もありました。幾何学文様のような連続模様に花や鳥などのモチーフがありそれぞれに意味があることを説明いただき、日本のきものの文様と共通点があると感じました。繊維の専門家の方3名が来てくださり、ワッチャラー先生の通訳を介しながらコンケンにおけるシルク産業の歴史と現状について解説くださいました。その後、先方が用意されていたタイシルクのきものを使って着付けの仕方を伝授しました。タイシルクの巾着を用意してくださり、飾り刺しゅうをするワークショップも開催いただき、とても有意義な交流の時間を過ごさせていただきました。
グローバル化の中で、異文化間の相互理解において、民族衣装を媒介としての交流はとても意義のあることと感じました。現地でのゆかたの着装を含む体験的ワークショップやアンケート調査の結果を通して、日本理解と文化交流の促進という日本の伝統文化の海外発信に貢献することが期待されます。
研究実践に当たり、多くの方々にお世話になりました。コンケン大学の高橋美紀先生、ワッチャラー先生、運営を手伝ってくれた日本語学科の学生たち、参加していただいた学生、日本語の先生方、一般の皆さんほか、多くの皆様に大変お世話になりました。感謝申し上げます。
また、このプロジェクトの実施にあたり、博報堂教育財団、国際交流基金バンコク日本文化センターおよび文部科学省科学研究費基盤研究(C)(一般)(代表:川端博子)より助成金をいただき、コンケン大学教育学部よりご支援をいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
また、埼玉大学の川端研究室より以下の音声付きの動画が配信されています。
きもの文化の発信ワークショップ@コンケーン大学【タイ国】
以下にそれぞれのワークショップおよびシルク村等の視察の様子をご報告します。
1.伝統文化をふまえた衣生活?服飾文化の伝承をめざす教材?資料の充実と発信
2.ゆかた着装の体験学習を含めた教育プログラムの実践とその効果検証
3.きもの文化を海外へ発信するための国際交流活動プログラムの整備
このプロジェクト研究の一環で、2023年9月8日~12日まできもの文化を海外へ発信するための教育プログラムを開発することを目指して、埼玉大学教授の川端博子先生、茨城キリスト教大学教授の扇澤美千子先生および本学の薩本先生、本学博士課程修了生で昭和学院短期大学非常勤講師の大矢幸江先生、家庭科教諭で元山形県立山辺高等学校校長の高橋恵子先生、学生3名に加えて日本舞踊家の藤蔭里燕様とお母様にも参加して頂き、計10名で第14回目となるSharing Kimono CultureおよびTry-on-Yukataのワークショップを実施しました。このWSはタイのコンケン大学から2018年に引き続き招待されたもので、高校生、初等中等高等教育機関教員などを対象にした一般公開講座と日本語教育課程3年生対象とした計2回のWSを実施しました。初日の一般向け公開講座は以下のポスターを用いて参加者を募っていただいたとのことです。
以下、薩本先生からの報告を掲載します。
コンケン大学はタイの東北地方最大の国立総合大学で、17学部を有するタイを代表する大学とのことです。大学の敷地が広大で、山手線の四分の一位の広さだそうで、コンケンという街の大きな部分をコンケン大学が占める、学園都市です。
コンケン大学でのSharing Kimono CultureおよびTry-on-Yukataのワークショップは2018年以来の2度目ですが、コンケン大学でのワークショップが実現することになったのは本学の教育学研究科の修士課程を言語文化系教育講座の青山先生の元で修了し、現在、コンケン大学の日本語教員となっている高橋美紀先生との出会いがきっかけです。高橋先生がプロジェクトのホームページにアップロードしているゆかたの着装およびたたみ方のe-learning教材を目にして、そのタイ語訳版を製作できないか、青山先生を通じて問い合わせがあったことが発端でした。今回も高橋先生にオーガナイズしていただき、また、コンケン大学教育学部日本語教育プログラム、プログラム長であるDr.Watchara Suyara(ワッチャラー スヤラー 先生)の協力をいただき開催することができました。今回はきもの文化のレクチャとゆかた着付け体験に加えて、日本舞踊家の藤蔭流師範の藤蔭里燕さんに参加していただき、きもの文化の代表的な例である日本舞踊についてその端緒を紹介いただきました。
ワークショップの初日は初等中等高等教育機関教員などを中心とした一般公開講座として実施しました。参加者が約350名になり、実際のゆかたの着付けは出来ませんでしたが、4人の教員がきものの文化に関わるレクチャを行い、学生を中心にゆかたの着付けのデモンストレーションを行いました。その後、里燕様から日本舞踊に関するレクチャと演目「梅」の演舞を披露いただきました。その後、見立てワークを行いました。会場の参加者の多くが扇子を使って、里燕さんの見立てと解説を聞きながら見立てワークを実践しました。最後に見立てワークの中で実践した見立てが多く含まれる演目「藤娘」の演舞を里燕さんに披露いただき、盛会のうちに終了しました。
二日目は、教育学部日本語教育課程3年生を対象(25名)とし、ゆかたの着装、その上での見立てワーク、さらにたたみ方の実習を行い、1日目よりさらに実践的なWSになりました。ゆかたの着装だけでなく、見立てワークを通じて文化としてのきものを体験して頂けたと思います。
ワークショップ前日はコンケンにあるノーンウェーン寺院とシルク村にタイシルクの見学をしました。シルク村ではタイシルクの製糸や機織りの体験をさせていただきました。張りのある美しい文様を織り込んだシルクのコレクションの展示室もありました。幾何学文様のような連続模様に花や鳥などのモチーフがありそれぞれに意味があることを説明いただき、日本のきものの文様と共通点があると感じました。繊維の専門家の方3名が来てくださり、ワッチャラー先生の通訳を介しながらコンケンにおけるシルク産業の歴史と現状について解説くださいました。その後、先方が用意されていたタイシルクのきものを使って着付けの仕方を伝授しました。タイシルクの巾着を用意してくださり、飾り刺しゅうをするワークショップも開催いただき、とても有意義な交流の時間を過ごさせていただきました。
グローバル化の中で、異文化間の相互理解において、民族衣装を媒介としての交流はとても意義のあることと感じました。現地でのゆかたの着装を含む体験的ワークショップやアンケート調査の結果を通して、日本理解と文化交流の促進という日本の伝統文化の海外発信に貢献することが期待されます。
研究実践に当たり、多くの方々にお世話になりました。コンケン大学の高橋美紀先生、ワッチャラー先生、運営を手伝ってくれた日本語学科の学生たち、参加していただいた学生、日本語の先生方、一般の皆さんほか、多くの皆様に大変お世話になりました。感謝申し上げます。
また、このプロジェクトの実施にあたり、博報堂教育財団、国際交流基金バンコク日本文化センターおよび文部科学省科学研究費基盤研究(C)(一般)(代表:川端博子)より助成金をいただき、コンケン大学教育学部よりご支援をいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
また、埼玉大学の川端研究室より以下の音声付きの動画が配信されています。
きもの文化の発信ワークショップ@コンケーン大学【タイ国】
以下にそれぞれのワークショップおよびシルク村等の視察の様子をご報告します。
(担当:教育学部)