【開催報告】台風列島日本の未来2050-攻めの防災に向けて-
2021年5月15日(土)にオンラインシンポジウム「台風列島日本の未来2050 -攻めの防災に向けて-」(主催:チーム「タイフーンショット※」、钱柜娱乐手机版_钱柜娱乐app¥开户平台官网/ 後援:科学技術振興機構)を開催しました。チームメンバー4名による講演と、総合討論を行い、約300名の参加者に視聴いただきました。
※タイフーンショットとは、2050年までに、台風の「脅威」を「恵み」に変換し資源活用することで安心かつ安定した持続可能な社会を実現することを目指した、台風人工制御および台風資源活用の研究開発計画のことです。
※タイフーンショットとは、2050年までに、台風の「脅威」を「恵み」に変換し資源活用することで安心かつ安定した持続可能な社会を実現することを目指した、台風人工制御および台風資源活用の研究開発計画のことです。
シンポジウム冒頭では、梅原出 钱柜娱乐手机版_钱柜娱乐app¥开户平台官网長から開会の挨拶があり、気象観測?予測技術の進歩とタイフーンショットの発展性に触れ、先を見据えた研究計画であるタイフーンショットを大学として応援していくことを述べるとともに、本日の登壇発表や討論を楽しみにしていると期待の言葉を添えました。
登壇発表では、まず、京都大学 防災研究所の森信人教授が「過去から学べ!~台風による風水害被害の実態?予測?軽減~ 」の講演を行いました。
森教授は、過去の大きな台風災害の事例を紹介し、100年に1度の規模の大災害は防潮堤などのハードウェアによる防災対策が功を奏している一方、想定を超える規模の災害では人的被害に加え経済被害も大きいことを指摘しました。また、台風による風水害の予測や評価は、自然という不確実なものを対象とし、様々な緻密なファクターを考慮する必要があることから依然として課題があることや、地球温暖化が進む現在は、特に海面上昇による影響が深刻であると述べました。そして、災害リスクを規定する3つのファクターは「ハザード」「暴露」「脆弱性」であると説明し、台風制御が実現し、温暖化の影響によるハザード増大を抑制できればトータルの災害リスクを軽減できると、台風制御がもつ意義を述べました。
森教授は、過去の大きな台風災害の事例を紹介し、100年に1度の規模の大災害は防潮堤などのハードウェアによる防災対策が功を奏している一方、想定を超える規模の災害では人的被害に加え経済被害も大きいことを指摘しました。また、台風による風水害の予測や評価は、自然という不確実なものを対象とし、様々な緻密なファクターを考慮する必要があることから依然として課題があることや、地球温暖化が進む現在は、特に海面上昇による影響が深刻であると述べました。そして、災害リスクを規定する3つのファクターは「ハザード」「暴露」「脆弱性」であると説明し、台風制御が実現し、温暖化の影響によるハザード増大を抑制できればトータルの災害リスクを軽減できると、台風制御がもつ意義を述べました。
次に東京大学 大気海洋研究所の佐藤正樹教授が「未来に備えよ!~地球温暖化に伴って凶暴化する台風~」の講演を行いました。
佐藤教授は、地球全体の雲と雨の変化を示す数値シミュレーションモデルを用いた台風予測研究等を行っています。講演では、まず過去40年に区切ると日本に接近する台風は強大化しているという分析結果を示しました。シミュレーションでは、海面温度の上昇により台風の強度が増大するという結果が得られていることから、台風の将来変化として専門家の間では、地球が温暖化すれば、強い台風が増えると考えられていると紹介しました。また、令和2年の台風10号の強度についてシミュレーション結果を示し、初期の微小な条件の差で、台風の強度が大きく変化するという台風の性質が良く表れており、台風制御のポイントとなるであろうと述べていました。
佐藤教授は、地球全体の雲と雨の変化を示す数値シミュレーションモデルを用いた台風予測研究等を行っています。講演では、まず過去40年に区切ると日本に接近する台風は強大化しているという分析結果を示しました。シミュレーションでは、海面温度の上昇により台風の強度が増大するという結果が得られていることから、台風の将来変化として専門家の間では、地球が温暖化すれば、強い台風が増えると考えられていると紹介しました。また、令和2年の台風10号の強度についてシミュレーション結果を示し、初期の微小な条件の差で、台風の強度が大きく変化するという台風の性質が良く表れており、台風制御のポイントとなるであろうと述べていました。
休憩の後、名古屋大学 宇宙地球環境研究所の坪木和久教授が「台風研究最前線!~航空機観測でスーパー台風を追う~」の講演を行いました。
坪木教授らの研究グループは2017年、2018年に飛行機でスーパー台風に近づき、ドロップゾンデと呼ばれる測器を用いて台風の様子を直接観測しました。発表の中では、コックピットからの撮影映像が紹介され、航空機が台風に近づき、壁雲から台風の眼まで到達する瞬間のリアルな様子が画面に映しだされました。この観測により、台風の眼の中の温度や風速を調べることができ、得られた観測データはリアルタイムで気象庁に送られ、台風予測に活用されました。坪木教授は、今後、無人航空機を使うことで常に台風を観測できるようになり、台風について、より正確なデータを得て防災に役立てられると説明し、さらにその先に台風制御の展開があると付け加えました。
坪木教授らの研究グループは2017年、2018年に飛行機でスーパー台風に近づき、ドロップゾンデと呼ばれる測器を用いて台風の様子を直接観測しました。発表の中では、コックピットからの撮影映像が紹介され、航空機が台風に近づき、壁雲から台風の眼まで到達する瞬間のリアルな様子が画面に映しだされました。この観測により、台風の眼の中の温度や風速を調べることができ、得られた観測データはリアルタイムで気象庁に送られ、台風予測に活用されました。坪木教授は、今後、無人航空機を使うことで常に台風を観測できるようになり、台風について、より正確なデータを得て防災に役立てられると説明し、さらにその先に台風制御の展開があると付け加えました。
最後の講演は、钱柜娱乐手机版_钱柜娱乐app¥开户平台官网 教育学部の筆保弘徳教授(チーム「タイフーンショット」リーダー)による、「未来につなげ!~タイフーンショット計画~」でした。
講演の中で筆保教授は、タイフーンショット計画の概要を紹介し、2050年の未来の社会の姿として、最強クラスの台風が日本に近づいた時に、無人飛行機から台風にインパクト物質を投下して台風を減勢し、かつ、無人船が台風の風で発電をしてエネルギーを得ることもできるようになっていると説明しました。また、国民1万人アンケートの結果を一部紹介し、6割を超える人が台風の人為的調整を希望していることを明らかにしました。台風発電に魅力を感じている人も全体の6割にのぼったということです。筆保教授は、課題は山積しているが、克服した先に台風の人工制御が実現すれば、台風の建物被害が大幅に減少し、人々の暮らしを守れると述べました。
講演の中で筆保教授は、タイフーンショット計画の概要を紹介し、2050年の未来の社会の姿として、最強クラスの台風が日本に近づいた時に、無人飛行機から台風にインパクト物質を投下して台風を減勢し、かつ、無人船が台風の風で発電をしてエネルギーを得ることもできるようになっていると説明しました。また、国民1万人アンケートの結果を一部紹介し、6割を超える人が台風の人為的調整を希望していることを明らかにしました。台風発電に魅力を感じている人も全体の6割にのぼったということです。筆保教授は、課題は山積しているが、克服した先に台風の人工制御が実現すれば、台風の建物被害が大幅に減少し、人々の暮らしを守れると述べました。
講演に続いて、登壇者および、チーム「タイフーンショット」サブリーダーの鹿渡俊介氏(デロイトトーマツコンサルティング合同会社)による総合討論が行われ、台風制御による環境などへの副作用の可能性や、台風災害に対して自治体?政府?企業に期待される役割、台風制御実現に向けたチャレンジなどについて活発に議論されました。また、一般参加者にも「タイフーンショット計画に期待するか?」という質問を投げかけ、回答者の85%が「ぜひ実現してほしい」と考えていることがわかりました。
総合討論の後に、ムーンショット ミレニア?プログラム ビジョナリーリーダー/ 名古屋大学 未来材料?システム研究所の天野浩教授からご挨拶をいただきました。
天野先生からは、素晴らしいシンポジウムであり、タイフーンショットは国をあげてやっていってほしいと考えているとのお言葉をいただきました。また、実現のためには研究を進めて技術精度を上げること、そうすれば経済合理性の説明にもつながるとの助言をいただきました。
天野先生からは、素晴らしいシンポジウムであり、タイフーンショットは国をあげてやっていってほしいと考えているとのお言葉をいただきました。また、実現のためには研究を進めて技術精度を上げること、そうすれば経済合理性の説明にもつながるとの助言をいただきました。
最後に筆保教授から閉会の挨拶があり、「台風の人工制御は自分の夢であり、誰からも相手にされない時期もありましたが、このように多くの方が話を聞いてくれて応援の声をいただけるようになりました。期待には結果で返していきます。」と締めくくってシンポジウムを終了しました。
タイフーンショットWEBサイト
イベントポスター
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